一度は聴いてほしいamazarashiの曲10選
再録アルバム発売を記念して(?)僕の選ぶamazarashiの名曲10選。
- アーティスト: amazarashi
- 出版社/メーカー: RAINBOW ENTERTAINMENT
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: CD
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- 1.奇跡(ワンルーム叙事詩)
- 2.クリスマス(ワンルーム叙事詩)
- 3.ポルノ映画の看板の下で(ワンルーム叙事詩)
- 4.もう一度(夕日信仰ヒガシズム)
- 5.冷凍睡眠(あんたへ)
- 6.古いSF映画(千年幸福論)
- 7.ピアノ泥棒(アノミー)
- 8.爆弾の作り方(爆弾の作り方)
- 9.つじつま合わせに生まれた僕等(0.6)
- 10.ジュブナイル(ねえママ あなたの言うとおり)
- 〆
1.奇跡(ワンルーム叙事詩)
- アーティスト: amazarashi
- 出版社/メーカー: SMAR
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: CD
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ロキノン系が大好きな友人から借りたiPodに入っていた。歌詞がすごく好きで、何度もヘビロテしてた。
amazarashiにしてはすごくポピュラスなテーマの前向きになっている曲なんだけど、プロセスが後ろ向きでうまく調和できているamazarashiっぽさがある曲だと思ってる。
実を言うと、もうイントロ前の歌詞で引き込まれてた。
今夜生まれてくる命と 死んでしまう命
そして懸命に輝く命と 無駄に生き長らえる命
「こんな夜は消えてしまいたい」とよく思うけれど お前なんか消えてしまえ なんで今日まで生きてたんだ
人って夜に一人だとみんな自己反省というか、虚無に襲われると思ってる。夜の自分を次の朝思い出すとなんであんなふうだったんだろうなんて疑問に思ってしまうこともしばしば。しかし、それはどうしようもない人の性質であって仕方ないことなのだろう。だからこそ人間臭さみたいな僕の大好きな部分が発生するんだろう。
唇噛み締めて自分の無力さになす術もなく泣いた悔しさ 身体半分持ってかれるような 別れの痛みとその寂しさ それさえも奇跡だと言えたなら 思えたなら 無価値な事も特別になる ありのままで奇跡だから
奇跡って定義の観点の変え方をすることで救われるんだと思った。奇跡は良いことだけを示すものだと思い込んでしまうけれど、表面的ではなく、見方を変えて奇跡として無価値な事も特別だと思えることは素晴らしく尊いと思える。本質ではないかもしれないけれど、人間は脆く弱い生き物だから受け取り方次第で強く生きるためには十分すぎる理由づけではないかな。
2.クリスマス(ワンルーム叙事詩)
ワンルーム叙事詩というアルバムが出会いであったし、このアルバムのことがすごく好きだから少し依怙贔屓している部分も無意識のうちにあるんだろうけど、クリスマスは外せないです。
どこか遠くミサイルが飛んで 流星と見間違えた少女 願いを一つ唱えたところ 今日は美しいクリスマス
さっきも似たような話をしたけれど、受け取り方次第だということ。ミサイルだとしても流星に見えた少女の中では儚く美しい流星であり続ける。「自虐家のアリー」と同じです。真実だけが善ではなくて、虚偽であっても善であることだってあると思うのです。
汚れた僕が汚した世界 だからこそ嫌いになれないよ
どうか 失望しないように どうか 言ってくれないか それでも好きだと
汚れていると自負している自分が汚した(ように見える)世界(自分の周囲の環境)だから自分で背負わなければならない。そこに美しさは存在する。自己嫌悪を題材にしていることがamazarashiは特に多い。誰かに相談するでもなく自分で嫌って自分で救って、っていう芯の強くありつつも、どこか弱い人間。そこに共感材料は多分に含まれていると思うし、美しさが発生するんだろうな。どうか少女よ、純粋で無垢であり続けてくれ。
3.ポルノ映画の看板の下で(ワンルーム叙事詩)
どんだけワンルーム叙事詩好きなんだよ!って言われても仕方ないんだけど、この曲で最後だから!許して!いい曲なんです、ワンルーム叙事詩最高なんです!
辛い辛いとはよく言うが 苦悩で死んだ例は無し
寂しげな気分が丁度良い 常日頃私に丁度良い
こういう皮肉もぶっこんでくる辺り、ハッとさせられながら感心させられような、いつまでも頭に残っている歌詞になる。「死ぬ気でやれよ、死なねえから」みたいなことです。amazarashiの歌には基本的に死が蔓延してるよね。死ぬか生きるかの瀬戸際で苦悩していること多すぎ。どんだけ死にたがりなんだよ、って話なんだけど、それがぼくにも丁度良いわけで・・・。
前向くのが面倒なら 後ろ向くのも面倒だ
眠りにつくのも面倒だ 一切合財面倒だ
弱い方、楽な方には簡単に転がってしまう。それは出来なかったことの対極にあるはずなのに何故いとも簡単にできてしまうのか。ぼくみたいな人は前向きになるのが難しいけど、もともと明るくて前向きな人にとってはネガティブな後ろ向きな方が難しいのだろうな。そういう意味ではどちらも同じくらいの難易度であって、性格の傾向によるものだ。それなら後ろ向きより前向きになろうよ。後ろ向きになってしまった時にはこの言葉が思い出されるのです。
夢なんてもんは偶像だ それを崇める私背徳者
願えば叶うよ 叶うよ 叶うよ
うるせえ背後霊 才能不在
夢を信じていない癖に、夢に縋ってしまう自分は背徳者であり、そこにまた自己嫌悪が発生する。都合がいい。よく血液型占いとか星座占いとかテレビでやっているけど、血液型なんてたった4種類しかないのに、星座も12種類しかないのに、そのうちの何割かを下位層に勝手に位置づけすることで悲しませる権利がどこにあるんだ、って思ってしまって否定派なぼくだけど、テレビでやっていて自分の順位が出てないと気になってしまう。否定的なくせに気になってしまっている自分が嫌い。たぶんそれと同じ。信じていないくせにどこかで気にしているっていう体裁が自己嫌悪につながるんだよね。わかります。
4.もう一度(夕日信仰ヒガシズム)
お気に入り。鬱と希望の調和がとれていると思う応援ソングです。
もう一度!ってリトライすることは凄くエネルギーが必要。絶望があって初めて希望がある。逆もまた然り。全体を通して歌詞が素晴らしく好きなので、引用とかしようとしたらきりがないから絶対に聴いてほしい。
自分自身にずっと負けてきた 勝てないわけないよ自分なら ぼくが一番わかってる ぼくの弱さなら
自分に勝つ、克己とでも言い換えれるだろう。自分の事をわかっているからこそ自分に勝てる。そういう考え方ってポジティブだな、発想の転換だな、と腑に落ちて納得してしまった。自分にまけてきたのは僕も同じだ。そういう意味でシンパシー感じるからこそ思い入れもできる。
ここには希望も救いもない わかってんならどっかいけよ 「昔はよかったな」なんてそりゃ白旗をふるって事 どっかで影が落ちれば どっかに光は射すもの どこに立っているかで不幸せとは決まらねえ
現状に不満があるくせに、そこから立ち去ろうとしない。じゃあ打破してみろよ!松岡修造みたいなセリフになりそうだ。影と光は対になる存在だ。終になる存在ではない。落ち目だと思えば、違う場所に移動すればいい。そこが光になっているから。ただし影は付いてくるってことは忘れてはいけない。
夢 希望 傷だらけで笑いあう友達 あの子の笑顔 全部ないよ
始まりはいつも空っぽ
今ではなくしてしまった大切なものの数々。そこで感傷に浸るんではなく、始まりと思えばいい。始まりは無であり空っぽだ。そこから積み上げていくことができるんだから。さぁ立ち上がれ、もう一度。
5.冷凍睡眠(あんたへ)
冷凍睡眠。そんなSFチックな内容。ポエトリーリーディングであり、歌であるかと言えば邪道であるのだけど、amazarashiはポエトリーリーディングもあってこそのamazarashi、とりあえずリピート再生して耳になじませてほしい。かく言うぼくも最初はすきじゃなかったんだけど、ライブに行って文字を映像として視覚から認識しつつ歌を聴くという状態で聴き直す機会で、途端すきになってしまった。ライブという空気感もあると思うのだけど、それでも食わず嫌いせずに良かったと思った。圧倒的に言葉量が多いのでパンクしそうなくらい情報が流れてくるけどそれが心地よくなる感覚を覚えてほしい。
心臓は動いたまま眠り続ける 君がもしも死んだら 僕も死ぬ事が出来ただろうかあれから数ヶ月 食うや食わずの生活 生きながらに死んでいるって意味では僕も同じだ
生きながらに死んでいるって意味では僕も同じだ。って言葉が頭から離れない。脳死の彼女がもし実際に死んでいたならば、自分も後を追えるかと言われると多分難しい。
人は喪失を許容できる生き物だ だが逃げ出した僕はその限りではない
あぁ、ぼくには耳が痛くなる言葉。逃げ出さずに向き合わなきゃダメだ。強くならなくてもいいから弱いままは直すことにしよう。
6.古いSF映画(千年幸福論)
世界観がとにかく好き。北斗の拳みたいな20XX年、荒廃した地球を舞台にした近未来だけどドラえもんのような輝かしい希望にあふれている世界ではないのです。そんな未来を舞台にしたSF映画を見た現代の人の話。「不安になるのはわかるけどあくまでフィクション。」そこに皮肉が込められているのかな。東日本大震災の後に発売されたアルバムで、原発に対するアイロニーがあるんだろうってぼくは思っています。
僕らが信じる真実は 誰かの創作かもしれない
僕らが見てるこの世界は 誰かの悪意かもしれない
人が人である理由が人の中にしかないのなら それを心と呼ぶんでしょ
僕らが愛した故郷が 殺されてしまうかもしれない
僕らが待ってた未来は 誰かの筋書きかもしれない
人が人である理由が人の中にしかないのなら 受け入れてはいけない事 それは君自身が決めなきゃ
真実ってなんなんだろう。目に見えているものが本当に真実なのか、疑うことを考えなかった僕ら、誰かに踊らされているとしたらそれはとても滑稽で悲しくなることだ。それらの中から自分で何を信じるか、何を拒絶するか、決めなくてはならない。誰かに任せるんじゃなく、最後は自分自身が選択するという、優しさともいえる厳しさ。ぼくはすきです。「あんたへ/あんたへ」も似たような題材なので10選にピックアップしないけど、聴いてもらいたい。
7.ピアノ泥棒(アノミー)
10年くらい前にヨーロッパで起きた実際の犯罪が題材だとか。泥棒が何も取らず入った家のピアノを弾き、家の人がその音で気付き御用となった珍事件。ピアノを弾きたくなってしまった犯人の気持ち、なにがあったんだろう、って事件。それをオマージュというかインスパイアというか、そんな感じの歌詞。
この曲は引用したら訳わからないので一つの物語として聴いてほしい。物語を伝えるための引用ではなく心の状態を表すフレーズは引用することにします。
あのピアノ盗んで弾きたいな とっておきの自慢のクラシックバラード それを聴いたら 出て行ったあの娘も 落ちぶれちまった僕をきっと見直すはずさ
何かに縋りたい、どうにか元通りにしたい。彼女が出て行ったのはそんなことじゃないってのはわかってるはずなのに。
8.爆弾の作り方(爆弾の作り方)
amazarashiの好きな英語を多用している印象が強い曲。純粋であることってのはどういうことか、子供のまま大人になってしまったらどうなるのか、そんなことを考えさせられる。
わからないものはわからないし やりたくないことはやらないし
そう言ってら落伍者扱い 立派な社会不適合者
やり続けることの情熱も 今じゃ余計な不穏分子
純粋でいることの代償は つまり居場所が無いって事だ
アスペルガー症候群の人の悩みみたいな歌詞だけど、ぼくらにだって当てはまる。みんなどこかで妥協しなければならなくて、妥協しないことは居場所が無くなってしまうことという社会の仕組み、生きづらさの原因でもあるだろうな。
街の噂で聞いたんだ きっとこれがこの世で一番の不条理
街には危険がいっぱいだから 誰にも会わず自分を守る
僕らは常に武器を探している それがナイフじゃないことを祈る
うーん、真理。噂は不条理だし、武器は誰かを傷つけるものではなければいいと思う。自分を守るための武器が転じて誰かを攻撃してしまう鋭利な刃物みたいなものなんて絶対に嫌だ。
潔白でいることの代償は 誰かを傷つけるってことだ
自分が正しいと主張する場面では誰かの間違いを証明するのだから必ず既に間違いが存在している。間違いの根源が誰かであればその誰かを貶めてしまうということにつながる。正しいかどうかであれば自分が正しくあり、間違っていないのだけど、人間関係ってそう単純ではないんだよな。
9.つじつま合わせに生まれた僕等(0.6)
- アーティスト: amazarashi
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- 発売日: 2010/02/10
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初期のアルバムからの選曲。僕らは所詮つじつま合わせに生まれていて・・・っていう話。生命、平和、戦争、善悪、そういったテーマです。すべては輪廻の輪のように連続的につながっていて、という歌詞になってます。これも曲を通してきいてもらいたいです。
不健康な心が飢えて 悲劇をもっと と叫んでいる
大義名分ができた他人が やましさもなく断罪する
悲劇なんて降りかかってほしくないのに、他人の悲劇なら要求する。ネットスラングで「メシウマ」、他人の不幸でメシが美味い、といった意味の略語すら発生している不健康な心が増えた現代。死ね!がイライラした時の決まり文句になりつつある若者、立派な病気にカテゴライズですよほんとに。同じ人間が同じ人間を裁くということは道徳的に倫理的に正しいのか、いつも思ってしまう。じゃあ誰が、何が、やるんだと言えば同じ人間しかいないから仕方のない空想論でもあると思うのだけども。
誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから 選ばれなかった少年は ナイフを握りしめて立ってた 匿名を決め込む駅前の 雑踏が真っ赤に染まったのは 夕焼け空がきれいだから つじつま合わせに生まれた僕等
秋葉原の無差別通り魔事件を彷彿とさせる。彼はきっと、って秋田ひろむは思ったんだろうか。誰もが転がる石なのに=つじつま合わせ、ってわけなんだけど、やっぱり自分だけは特別という意識はよくある話なんだよね。他人より少し秀でている部分があればそれだけで特別だと思ってしまう強欲の罪。
10.ジュブナイル(ねえママ あなたの言うとおり)
ジュブナイルっていうのは少年少女とか、ボールルームダンス(社交ダンス)でいうところの小学生以下の部門のことを指す。つまりは子供ってこと。反抗期を迎える、迎えたあたりの成長する年齢。人によっては中二病一歩手前ってとこか。
「人間嫌い」っていうより「人間嫌われ」なのかもね
侮辱されて唇噛んで いつか見てろって涙ぐんで
消えてしまいたいのだ 消えてしまいたいのだ
人間嫌われ、好きな言葉だなあ。嫌う権利なんてない、嫌われるだけ。僕もそう思ってしまっている節がある。
そこから一歩も動かないのなら 君は「侮辱された人間」だ
そこから一歩 歩き出せたら 君は「負けなかった人間」だ
怖いとはいうべきじゃないな 辛いとはいうべきじゃないな
どうせ誰も助けてくれない それをわかって始めたんだろう
動き出せたらもう別人だ。負けなかった人間になれたらそれで合格だよ。成功失敗以前にその過程が尊いのです。助けてもらえる前提で始めるなんて阿呆だ、支え合って生きていく生き物が人間とかそういう言葉に甘えるんじゃない。
〆
と、まぁダラダラと自分の好きなフレーズとともに紹介してきたわけだけど、10選といいつつ結構というかかなり悩みました。過去に別記事で取り上げた「ひろ」とか「千年幸福論」とか「自虐家のアリー」とかは除きました。どれも10選のどれかと入れ替わってもおかしくないです。一つでも多く知ってもらいたかったからこの選曲になった次第。取り上げられなかった曲が悪いってわけじゃない。多分これからamazarashiが発表する曲の方がぼくにとって良曲になることがあるかもしれないけど、今のぼくがオススメしたい曲は今後オススメしたくない曲に変わることはないと思う。これを契機としてamazarashiを聴いてほしい。あなたの心の重りを軽くできたら幸いです。(おしまい)
この記事は過去の記事を移転させたものです。本ブログはがんばれなんて言えないの倉庫ログです。